基本情報
概要
テーマ:言語資料の利用における誤読・誤解
話題提供者:孫楊洋(京都大学 博士課程)
使用言語:日本語·中国語
主催
科研「国際協働による東アジア古典学の次世代展開──文字世界のフロンティアを視点として」
当日レポート
当日は本学の博士課程の孫楊洋さんに「言語資料の利用における誤読·誤解」をテーマとして話題提供をしていただき、8名ほどの方にお集まりいただきました。
孫楊洋さんは、中国の韻書『諧声品字箋』、日本研究書『日本風土記』を取り上げて、近世の呉語文献の誤読と誤解について述べました。まず、『諧声品字箋』は中国呉方音を反映しているという特徴を紹介しました。また、ヨーロッパの宣教師と学者の記録からその福建省・江西省などで流布状況を考察し、それが「正音書」と「南京官話字典」として使われていることを述べました。さらに、その誤読されたことについて自分の考えを述べました。『日本風土記』についても、日本の学者新井白石の記録からその誤読の状況について考察しました。
自由討論では、まず、『日本風土記』は具体的にどのような本であるかについて議論が展開されました。 また、『諧声品字箋』に記された方言の由来も論じました。中国の官話と方言について、特に官話の標準と江浙方言の特徴について議論が展開されました。
話題提供していただいた孫楊洋さ、ご指導いただいた先生方、討論に刺激を与えてくださった方々に改めて感謝を申し上げます。
(求思圓 京都大学博士課程)