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セミナー

東アジア古典学の方法 第67回
北京大学セミナー(1)

日時
2021年10月15日(金) 14:00(北京時間)
会場
北京大学(オンライン)
講師
馬場小百合(帝京大学)
北京大学セミナー(1)

基本情報

概要

馬場小百合(帝京大学)
「『古事記』の漢字表現――『日本書紀』との比較を通じて」

参加学生は北京大学外国語学院日本語言文化系で学ぶ学部生及び大学院生です。

主催

科研「国際協働による東アジア古典学の次世代展開──文字世界のフロンティアを視点として」
北京大学外国語学院日本語言文化系

当日レポート

 北京大学外国語学院日本語言文化系で学ぶ学部生及び大学院生を対象に、オンラインでセミナーを実施しました。初回の今回は馬場小百合先生が「『古事記』の漢字表現――『日本書紀』との比較を通じて」という題で発表を行いました。

 まず、『日本書紀』が漢文で書かれたものであるのに対し、『古事記』は漢字を用いて日本語を書くことを試みたものであることについての説明がなされ、その表現が漢文訓読の定着によって可能となったものであることが述べられました。続いて、『古事記』においても散文部は訓主体で書かれる一方で、歌は音で書かれるという書き分けがなされていることが示され、その書き分けが客観的事実を述べる散文と当事者に見えている世界を表す歌とによって成り立つ二元的な表現を生み出していることが論じられました。最後に、『日本書紀』の場合は散文が歌の解釈を提示するものとなっており、『古事記』とは異なる関係が散文と歌のあいだに見いだせることが指摘されました。

 今回は学部生を含む参加者を対象にしたセミナーであったため、基礎的な事項の確認から専門的な議論へ発展していく形で発表がなされました。新型コロナウイルス感染症の流行のため、オンラインでの実施となりましたが、北京大学の方々と初めて交流することができ、有意義な機会となりました。

 

(飛田英伸 東京大学博士課程)