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特別講義

東アジア古典学の方法 第34回
A Japanese Vernacular Kanbun Reader 実験授業

日時
2017年12月1日(金)
会場
カリフォルニア大学ロサンゼルス校
講師
齋藤希史(東京大学)、トークィル・ダシー(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)、小野桂子(プリンストン大学)、デイビット・ルーリー(コロンビア大学)、クリスティーナ・ラフィン(ブリティッシュコロンビア大学)

基本情報

概要

2017年12月1日(金)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて、日本漢文に関する実験授業を行います。
これは、齋藤希史(東京大学)、トークィル・ダシー(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)、小野桂子(プリンストン大学)、デイビット・ルーリー(コロンビア大学)、クリスティーナ・ラフィン(ブリティッシュコロンビア大学)が協力して作成を進めている日本漢文の教科書 A Japanese Vernacular Kanbun Reader を用いて行う実験授業です。
参加学生は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、プリンストン大学、コロンビア大学、ブリティッシュコロンビア大学で日本古典文学を学ぶ大学院生です。

主催

科研プログラム「東アジア古典学の次世代拠点形成──国際連携による研究と教育の加速」
カリフォルニア大学ロサンゼルス校

当日レポート

 2017年12月1日(金)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のRoyce Hallにて、A Japanese Vernacular Kanbun Reader (試行版)を用いた実験授業が行われました。今回、この漢文教科書の試行版を用いて実験授業を行うにあたり、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、プリンストン大学、コロンビア大学、ブリティッシュコロンビア大学から6名の学生が招かれました。学生の関心は日本前近代の文学、仏教、歴史など多岐にわたりますが、いずれも各々の研究において、日本で読み書きされた漢文を学ぶことの必要性を実感しているとのことでした。
 
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 授業は全部で5コマ、法隆寺金剛薬師像の銘文、『古事記』、『明月記』、世阿弥の『二曲三体人形図』、近世の『論語』和刻本などをテキストとして行われました。中国漢文と日本漢文の違い、また日本漢文とその訓読の多様なありかたなどに注意しながら、読み下しや英訳、練習問題を通じて理解を深めました。授業終了後には学生からフィードバックを受ける時間を設け、要望や改善すべき点などについて意見交換が行われました。
 
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 内容について様々に期待が寄せられたことはもちろん、この教科書が冊子の形ではなく、pdfファイルの形でインターネット上に公開される予定であるということについて、特に好意的な反応があったことが印象的でした。近年古典籍等のデジタル化が進み、資料へのアクセスは以前より容易になっているとはいえ、日本で出版された漢文の教科書などを北米で手に入れることは依然として難しく、漢文の授業が開講されている北米の大学も限られています。今回の参加者の多くも、日本での短期集中プログラムなどを通して基本的な漢文の知識を身につけたということです。将来的に、このA Japanese Vernacular Kanbun Readerの公開により、日本漢文の多様性とそれを学ぶ意義とが日本を含む世界中の学生・研究者に広く共有されることを期待します。
 
(東京大学特任研究員 馬場小百合)